アニメのサディズム
日本の場合、江戸時代においてはエロチックアートが随分発達しましたが、明治以降の弾圧で残念ながらこの伝統が途絶えてしまいました。
伊藤晴雨がその伝統と残酷絵の伝統を混ぜ合わせ、責め絵という新しいジャンルを作り出しましたが、こういう表現は映画にも取り入れられ、直截的な裸体の表現ができないなかで、お姫様が悪党に拘束されるなどという映像が多用され、妖しいエロティシズムを振りまきました。
その後三次元の映像については、テレビであれ、映画であれ規制は緩和され、裸体の表現も普通のものになりましたが、アニメについては状況は異なっていました。
地上波のアニメについては、子供向けの番組であるということで当初から厳しい制限が課されていました。その後新しいビジネスモデルとして、深夜の時間帯で大人向けのアニメを放映し、これをDVDにして売却するというモデルです。DVDであれば、成人向けの映像も流せるのですが、深夜の時間帯であれ、一旦は地上波にしなければなりませんので、ここで性的な表現が削られます。乳首をだすことすら禁じられていますので、性的なものを直截的に表現することはできません。
他方、アダルトDVDの世界でアニメもジャンルを確立していますが、こちらの場合は、元がアダルトゲームであり、こちらの方に卓越した絵師が存在しているため、ゲームほどのエロスを表現できないという問題があります。ゲームに比べると、著しく劣化したアニメを見せられてもなかなか満足のいくものにはなりません。
そこで、日本のアニメは、地上波の世界でエロスを表現することになりました。かつての日本映画がそうであったように、ヒロインが拘束されたり、痛めつけられたりというサディズムの世界に美を見いだそうとしたわけです。最近放映が終わった鉄腕バーディーなどもその典型であったと思います。一時期戦闘美少女について、精神分析的な議論がありましたが、これは何も精神分析の対象ではなく、性的なものの表現の仕方の問題です。戦闘美少女である以上、体にぴったりとフィットした服を着せることができます。バーディーやグレンラガンのヨーコなどがそうです。それで、戦闘する訳ですから、時に痛めつけられたり、拘束されたりということが普通に表現できます。バーディーやヨーコが拘束された姿というのは、伊藤晴雨の和服の責め絵などよりは、遙かに露出度の高い表現です。
このサディズムにあふれたアニメのヒロインに大の大人が引きつけられるというのは、奇譚クラブ以来の日本のエロスの伝統です。それがジャパニメーションとして世界に広がりつつあるというのは、日本文化に属する者として言祝ぐべきことなのでしょう。
紅屋 妙人は残念ながらマンガもCGも描けませんので、文字の世界でジャパニメーションの美の世界を表現したいと思い、「でじたる書房」で作品を発表しています。
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